Column
2017-05-31(Wed)
シナリオというとドラマや映画の脚本が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。マーケティングオートメーション(MA)にも、それに近い意味を持つシナリオがあります。そこで今回はMAにおいて、大きな役割を担うシナリオについて解説します。
MAの成否をわけるとも言われるシナリオですが、基本的には条件と実行内容を記したルールブックのようなものです。
ドラマや映画の場合、シナリオなしに撮影現場でカメラを回すとどういうことが起こるのでしょう。シナリオがなければ、俳優はセリフもどう動いていいかもわからず、カメラマンは撮り方を迷い、監督でさえ的確な指示を出せなくなります。
つまりシナリオは俳優やスタッフに対する詳細な指示書です。シナリオが用意されているからこそ、全員が無駄なく動き、スケジュール通りにことが進むわけです。
それと同じく、MAにおいてもシナリオの有無はとても重要な話です。いつ、どこで、誰に、どうするという仕掛ける側のアクションを予定しておかないと、本来なら対処すべきリードの動きを見過ごしてしまうからです。
シナリオ設計はMAツールの重要機能のひとつであり、リードナーチャリング(見込み客の育成)を戦略的かつ効率的に行うための指示書です。
名称にオートメーションとつくことから「MA=マーケティングを自動化?」という誤解が生まれてしまうようです。
実際に自動化できるのはマーケティングプロセスの一部分であり、たとえばリードの行動に対して評価点数がつけられるスコアリングなどがそうです。確かに合計スコアの高いホットリードは自動抽出されますが、それは数値の積み上げという結果であって、データ分析や施策実行は別でやる必要があります。
高機能のMAツールを導入したとしても、人の介在は避けられず、リード数が増えるほど運用にかかる手間も多くなります。
そこで求められるのが、マーケティングのワークフローを自動化するシナリオです。
シナリオを適用することで、手間のかかるデータ分析と施策実行を自動化し、MAツールの運用効率を上げることができます。
その結果、短期間でリードナーチャリングの成果が上がり、コンバージョン率(CVR)の向上へとつながります。
では、シナリオはどのように適用されるのでしょうか。メール配信におけるシナリオの例を2つ紹介します。
メールマガジンを一斉配信した場合、メールを開封するかどうかはリード次第です。
開封してもらえれば内容を読み、サイトへのアクセスや資料ダウンロードなど、リードナーチャリングにつなげることができます。一方、未開封のリードをそのまま放置しておくと、せっかくのつながりを失ってしまう可能性があります。
未開封のリードに対しては、数日後にタイトルも内容も別のフォローメールを送るというように、具体策を打ち出します。
この具体策をシナリオに落とし込めば、リードの動きに対するアクションを自動化できるとともに「なぜ未開封だったのか?」という疑問も解決しやすくなります。
メール配信フローの自動化でリードの動きを見過ごさず、PDCAを回しながら、メルマガの開封率、回帰率を上げるようにしていきます。
リードの動きではなく、属性に対してもシナリオを適用できます。
たとえば “東京” “名古屋” “大阪” など地域のセグメントが設定されていれば、セミナー参加を呼びかけたいときに、開催地域のリードにだけ案内メールを送ることができます。
開封率や回帰率を正しく分析できるのはもちろん「うちは大阪なのに、なぜ東京のセミナー案内が……」と思わせるような、的外れなメール送信を避けられます。
シナリオ設計は完璧でないと意味がないというイメージにより、完璧を求めるあまり複雑化させ、自動化のマイナス面が出る恐れがあります。
シナリオ設計は仮説を立てることからはじめます。仮説の立て方は、リードの視点でコンバージョンまでのプロセスを整理するか、営業からのフィードバックに頼るのもいいと思います。
ただ最初から正解を求めようとすると、シナリオ設計という机上の話に没頭するだけで、なにひとつ検証できないまま時間が過ぎていってしまいます。リードがいつまでも待っていてくれるとは限りません。
仮説は検証を経て、事実になります。
まずはMAツールの基本運用を進めつつ、こうだろうと思う仮説をひとつずつ検証し、使える事実を増やすことが大切です。
いかがでしたか?シナリオがなくてもMAツールの運用は可能ですが、リード数の増加や要求スピードに応じて、いつかは取り組まなければならない課題です。MAツールの導入初期はメール配信シナリオなどできることからはじめて、仮説立案と検証を繰り返しながら、少しずつ精度を高めていきましょう。
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